留置所「一日2300kcalを支えたいけど物価高騰で難しくなってきた」

「1日2300kcal」を支えたいが…留置場で食べられる弁当「官弁」の納入業者、物価高で悲鳴　入札不成立が相次ぐ

9/20(水) 11:30配信

警察署の留置施設で収容されている人に提供される食事「官弁」にも物価高騰の波が押し寄せている。
収容されている人の人権を保障するため、請負業者は1日3食を365日届ける重要な役割を担うが、
原材料費だけでなく、配達に使う車のガソリン代も高騰し、経営を圧迫。
もうからない仕事を請け負う業者は少なくなり、入札すら成立しない状況になっている。

「小袋のしょうゆを入れてはいけない」…通常とは違う決まり

　8月下旬の午後1時ごろ、長野県佐久市中込の卸小売業「越中屋商店」の調理場。約3時間後に近くの佐久署に届ける夕食の準備が進んでいた。
「一般販売用とは異なり、小袋のしょうゆを入れてはいけないなど、細部まで決まりがあるんです」。中田真也専務（45）が官弁作りの難しさを話した。

県警留置管理課によると、県内22署のうち21署に留置施設がある。定員は4月時点で計315人。昨年1年間に収容したのは延べ2万2950人で、
2019～21年は3万人前後で推移してきた。各署が年度ごとに業者と契約を結んでおり、
県警は本年度予算に留置施設の食糧費として計3083万円を計上した。

越中屋商店は別の業者が撤退したことに伴い、19年度から佐久署への納入を担当。
1日平均20食程度を届けている。昨年度までは一般競争入札で1食370円（税抜き）で受注していたが、本年度は同社が随意契約で390円（同）で請け負った。
物価高による材料とガソリン代の高騰…業者を圧迫

同社は、仕入れる量を増やすなどして原材料費を抑える工夫もしてきた。だが、食用油や卵などが19年度比で平均1割ほど値上がり。
現在も値上がり分の半分程度しか価格に反映できていない状況だ。

最高値を約15年ぶりに更新したガソリン代も重くのしかかる。同社から佐久署までの道のりは片道で6キロほど。
注文数に関係なく1日2往復する必要があるため、中田専務は「コスト削減の対策が取りづらい」とする。

松本署の官弁を長年担当する松本市渚の食堂「慶楽」も同じ状況で、2代目店主の佐藤守さん（47）は「収入は減っている」。
個人経営で仕入れ先を変更しやすい上、署に近く配達費がかからないため「踏みとどまっている」が、
「質は落とせない。いつまで価格を維持できるだろうか」とこぼす。

https://news.yahoo.co.jp/articles/5b5f12f97375d2011e7c22389ce8488e1ccdf346?page=1

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