デブになりたい。　デブになる方法教えろ！　４０過ぎてガリだと子供みたいで安定感に欠けるんだよ

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万引き、兄から性暴力　シングルマザーを支えた存在とは

　「事件を知ったとき、自分もそうなっていたんじゃないかと思った」

　北日本に住む20代のシングルマザーの女性が「事件」というのは、札幌市で2019年6月5日に2歳だった池田詩梨（ことり）ちゃんが亡くなったことだ。母親と交際相手の男が、詩梨ちゃんに十分な食事を与えず、衰弱死させたとして逮捕された。自分とそれほど年齢が変わらない、その母親に自らを重ねた。

　「2人とも、自分を守ることに必死だったんじゃないかな」

　女性は、心から大事に思える小学生の娘と2人でアパートで暮らしている。娘は前の夫との子。いま、おなかには新しい命が宿る。信頼できる人と巡りあい、再婚する予定だ。
小さな町で育った。母と3歳上の兄がいた。物心がつく前に父は家を出た。そのあと母と内縁関係になった男性も女性が小学生のころに出て行った。

　母は働こうとせず、生活保護を受給していた。満足な食事ができなかった女性は、塩をなめて空腹を紛らわせた。砂糖をなめていた兄は虫歯だらけになり、肥満になった。

　中学生になると、母に命じられて頻繁にスーパーで万引きをした。スポーツ用のエナメルかばんに、母が飲む酒や弁当や菓子を詰めた。「生きるために仕方がない」。そう割り切っていた。

　そんなころ、心に傷を負う体験をした。母が携帯サイトで出会った男性に会いに泊まりがけで出かけた日の夜だった。

　自室の布団に兄が潜り込んできた。性的暴行を受けた。「夢なら覚めて」。必死に寝たふりをした。兄は別の日もやってきた。気づかないふりを続けた。

　母に被害を打ち明けた。「私も同じような体験がある」。そういって取り合ってくれなかった。

　兄からの性被害は児童相談所の介入で止まった。

　女性が高校生のとき、母が警察に逮捕された。生活費を稼ぐため、飲食店でバイトをした。

　娘を身ごもったのは高3のときだった。相手はバイト先で出会った男性。卒業後に出産した。男性のプロポーズに熱意を感じて結婚した。だが、夫は気にくわないことがあると実家の前で車のクラクションを鳴らしたり、料理を床に投げつけたりした。

　「犯罪者家族」

　そう、ののしられることもあった。

　つらい時期を支えてくれたのが、高校で出会った友人の女性と保健室の養護教諭の女性だった。

　友人は、仕事などで家を空けなければならないときには娘の面倒を見てくれた。2人は仕事と子育てをがんばっているのをほめてくれた。「母に否定され続けた私のことを、どんなときも肯定してくれる」

　友人に母のことを話すと、「それって『毒親』っていうんだよ」と指摘された。「自分が悪いんじゃない。生まれ育った環境が悪かったんだ」。そう気づかせてくれた。

　離婚したいと訴えても、夫はなかなか応じなかった。「慰謝料や養育費は一切請求しない」という条件で、離婚届を出せた。養護教諭の女性は役所の手続きなどを手伝ってくれた。

　それから4年ほどたつ。以前は娘のことより、「自由な時間がほしい。遊びに行きたい」と自分を優先したくなることがなかったわけではない。でも、自分が寂しい思いをした分、娘には同じ思いをさせたくない。そう思えるようになった。

　常にお金の心配がある。いまの工場の仕事は月給11万円ほど。家賃は2万5千円。光熱費がかさむ冬場は3万～4万円で生活をやりくりしないといけない。昨年までしていた派遣の仕事のほうが収入は多かったが、コロナ禍で次の派遣先がなくなった。

　自分だけ夕食を抜いている。「ママは食べないの？」「おなかすいてないから、食べちゃいな」。そんな会話を交わす。浮いたお金で500円玉貯金をしている。

　おなかの膨らみはまだ目立たないが、娘は手を当ててきて「赤ちゃんの面倒見る！」。仕事で疲れ、子育てがしんどいと感じることはある。それでも、「この子がいないと生きていけない」と思う。
　支えてくれる人、そして娘。かけがえのない存在がいてくれたから、踏ん張れた。

　夜、娘の寝顔を見るのが楽しみだ。そっと名前を呼び、ささやきかける。

　「大好きだよ」
　〈詩梨ちゃん死亡事件〉　2019年6月5日、札幌市中央区のアパートで池田詩梨ちゃん（当時2）が全身にあざがあり、衰弱した状態で見つかり、病院で死亡が確認された。母親の池田莉菜被告（23）と交際相手の藤原一弥被告（26）は、詩梨ちゃんに十分な食事を与えず、衰弱死させたとして保護責任者遺棄致死罪で起訴された。藤原被告は傷害致死罪にも問われた

太るのは難しい