敵幹部(♀)「フフ……ずいぶん気持ちよさそうに眠っていたじゃないか。」

敵幹部「フフフ、血気盛んだなぁ。でも残念だけど、ボクにその手は届かない。あんまり暴れると、枷が食いこんで痛いよぉ？」

敵幹部「できるだけキミの身体は傷つけたくないんだ……キミはボクのお気に入りだからねぇ。それに……今後の計画のためにも……クククッ…。」

敵幹部「……ああ、キミのお仲間かい？安心しなよ、命に別状はないはずさ。ちょうどキミと同じような牢にほうりこんである。じきに目を覚ますんじゃないかな？」

敵幹部「でも、なにぶん誰かさんたちのおかげでここのところ帝国に歯向かう連中が多くてねぇ。牢屋が不足しているんだ。だから……」

敵幹部「キミの態度次第では……間引かざるを得ない、なーんてこともあるかもねぇ……？」

敵幹部「アッハハ！ほぉら、怒っちゃ駄目だよぉ。殺してしまうよ？あんな連中、ボクにとってはどうでもいいんだから。」

敵幹部「ククッ……そうそう、そうやって大人しく可愛くしていれば、悪いようにはしないよ…。もし次に暴れたら……それ。」

敵幹部「クッ、ハハハハッ！！どうだい？苦しいかなぁ！？その枷には電流が流れる仕組みになっている。今度ボクの機嫌を損ねたら……こんなものでは済まさないぞ。」

敵幹部「さて、と。それじゃあボクはそろそろ行くよ。こう見えても結構忙しい身だからねぇ。本当はここでこうしてキミと一生遊んでいたいんだけど……それは、また後でね。」

敵幹部「……それじゃあ○○、お別れの挨拶だ。“行ってらっしゃい、早く帰ってきてね”って……言ってごらん？」

敵幹部「…………聞こえない。やれ。」

敵幹部「……うーん、そうそう！やれば出来るじゃないかぁ。そう言ってくれるキミのためにも、なるべくはやく片付けてくるからねっ。またあとで……アッハハハハ！！！」

強いていうならケイ

敵幹部「本当だったらボクもわざわざこんな汚らわしい場所になんて来たくないんだけどねぇ。でも、他ならぬキミのためだから。」

敵幹部「知ってるかな？囚人にエサを持ってくるのは本来下級兵の仕事なんだけど、キミのものだけはわざわざボクが持っていけるように命じてあるんだ。」

敵幹部「キミとの大切な時間を、他のやつになんか与えない…。さあほら、エサだよ。ちゃんと“いただきます”って言ってから、食べるんだよ？」

敵幹部「……躾がなってないサルだなぁ。“いただきます”だろ？挨拶くらいはきちんとしようねぇ。」

敵幹部「……ボクの言いつけを守れないサルには、痛みをもって教えてやるしかないよね。……どうした？“いただきます”、だろ？」

敵幹部「うんうん！さあ召し上がれ！中にどんなものが入ってるかなんて想像もしたくないほど劣悪なものだけど、キミみたいな下等生物はなんでも消化できるだろうから、問題ないだろう？」

敵幹部「……あぁーっ……まるで知的生命体とは思えない本能的な食事姿だねぇ…！口で皿を引っ掻き回すように……ああっ、口の周りをぐっちゃぐちゃ……きったなぁい……！」

敵幹部「フフ……クククッ……ああー……いいなぁ…。用が済めば処分してやろうとも思っていたが……しばらく飼ってみるのも、悪くないかもしれないね……クククッ……。」

敵幹部「駄目じゃないか○○、勝手にお家を出ていっちゃ。それに、そんなに余計な連中まで連れてさ……ボクのもとから離れないでおくれよぉ。」

敵幹部「これでもボクは嫉妬深い方なんだ。大切なものがボクの手元から離れていくなんて、絶対に我慢ならないんだよ。」

敵幹部「それに……まだ本来の目的は果たせていない。キミの中に眠る禁断の力……それさえ手に入れば最悪どうでもいいんだが……まあいい。」

敵幹部「とにかく、ここを通す訳にはいかないなぁ？さあ……大人しく捕まってくれたまえ。」

敵幹部「フッ……クハハハッ！どうしたどうしたぁ？全ッ然手応えないよねぇ！ずっと牢屋で繋がれていたから、まだ身体が思うように動かないんだろう！？」

敵幹部「羽の抜け落ちた鳥は、落ちて食われて死ぬるのみ……ボクが食べてあげるよぉ！がおーっ！アッハハハ！！」

敵幹部「さあ、てと……お仕置きの時間だ…。まずはもう歩けないように……脚の自由を…………ッ！？くッ……なんだ…っ。」

敵幹部「……飛空挺…！？何故っ、どこからっ！チッ……なにをボサッとしているんだよっ！！さっさと追えッ！！」

敵幹部「くそっ……渡さないッ、ボクの○○…っ！！○○はボクのものなんだっ！○○の力はッ……ぐうっ！？」

敵幹部「…………ああ……○○…。…………ッッああああああ！！！クソッ！クソォッ！！どいつもこいつもッ、役立たずどもめえッ！！」

敵幹部「……ンフ……ン、クククッ…………まあいいさ…。どうせキミは戻ってくる……キミの方からボクのもとへと帰ってくるさ…。」

敵幹部「だって……ボクは、キミの……！！」

あるのは肥大化した自我

敵幹部「ボクがお前らのような下等な糞ザルに負けるわけないだろおッ！！あっちゃいけないんだッ、そんなこと！！」

敵幹部「ボクは、完璧なんだ……っ。美しくて、強くて、賢くて……ボクのような者が、この世界を束ねて……フフッ…ぼ、ボクにはその資格がある…！この世界はボクのものだぁぁ…！」

敵幹部「フハ…ァハ…ハ……！！そうだ……こんなところで終わらせないぞ…。最後に勝つのはッ、このボクなんだぁ！！」

敵幹部「魔帝よ！！この私に力を！！目の前の邪を払いッ、貴方様の害悪を退ける力をボクにィッ！！！」

敵幹部「…………へ……？」

敵幹部「ど……どうしたのですか魔帝よ！！なぜ私に力をお与えくださらないッ！！この私めが、必ずやこの者たちを八つ裂きにしてご覧に入れましょう！！ですからどうかッ、私にもう一度機会をォ！！」

敵幹部「……ぅ……うそ、だ……。……どう、して……ああ…っ……ああああ……！！嫌だ……嫌だ…っ……死ぬのは…！消えるのは……っ！！」

敵幹部「嫌だァ！！ああッ、嫌だッ！ヒィイヤだぁあッ！！た、助けて……誰か……ぁ……あ……！！」

敵幹部「ああっ……○○……！お、お願いっ…ぁや、あやまるから…たすけてっ…！ぼくを…た、たすッ───」

あーあ消えちゃった
くらいのあっけない最期がいいな