抹茶が値上げ。海外の抹茶ブームで品薄。宇治茶など従来の2倍の価格に…。菓子メーカーなどが確保に苦慮

海外の抹茶ブームで日本からの輸出が増え、国内で品薄になる中、広島県内の販売店や菓子メーカーが抹茶の確保や値上げの対応に追われている。国内外の需要の高まりを受け、原料のてん茶の生産は増えているものの、価格や入荷量が落ち着く気配は見えない。

京都府産の宇治抹茶と福岡県八女市産の抹茶を扱う田頭茶店（呉市）は5、6月から、缶や袋入りを従来の2倍の価格で販売している。 濃い抹茶に使う高級品は40グラム入り4320円だったが、30グラムに減らして6609円にした。値上げは約50年ぶりという。

原料のてん茶を巡っては、仕入れ先の工場から数量制限がかかっている。新茶葉の仕入れ値は3～4倍に上がった。吉長邑彩（ゆい）社長は「価格転嫁せざるを得ない」と説明する。

広島市中区の金座街商店街で運営するカフェは夕方になると外国人客で満席になり、抹茶を大量に買う人もいるという。吉長社長は「海外で抹茶をたてる様子が交流サイト（SNS）で拡散されている。これまでもブームはあったが、より高級品を求める動きが強まった」と受け止める。

抹茶菓子販売の茶の環（わ）＝西区＝は菓子に使う抹茶の種類を変える。今までは京都府産の宇治抹茶だけを使っていたが、国産の別の抹茶も加える。茶の鑑定士と連携し、同じ味を出せるように配合を工夫する。

「宇治」を商品名に入れていたバウムクーヘンは表記を外す。抹茶味だけだった4個入りのもみじまんじゅうは、半数をほうじ茶味にしてセット販売も予定する。大淵馨社長は「日本茶というくくりでおいしさをアピールし、工夫して乗り切りたい」と見据える。

財務省の貿易統計によると、抹茶を含む緑茶の輸出額は2024年に過去最高額の364億円に上った。米国などで健康志向を背景に抹茶ブームが拡大し、粉末茶の需要が高まった。原料となるてん茶は引き合いが強まり、全国茶生産団体連合会の調べでは24年の生産量は5336トンと、この10年で2・7倍に伸びた。農林水産省は、煎茶などから、てん茶への生産転換を農家に促し、輸出を強化している。
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