【衝撃】白鵬さん、違う次元で生きていた…「私は相手が動く前に動いている。他人と時間の感覚が違う」

品格って何なんですか?　元白鵬と国枝慎吾が語る、王者の苦悩と孤独

　勝つことが当たり前で、負けるとニュースになる。大相撲の元横綱白鵬（38）=宮城野親方=と、車いすテニスの国枝慎吾（39）。それぞれの世界で「絶対王者」と称された2人が、現役時代に抱えた孤独、葛藤を語り合った。（敬称略）

　《対談を持ちかけたのは国枝。白鵬の現役引退を取り上げたテレビ番組「アナザースカイ」をみて、横綱の境地に共感した》

　国枝　「負けることは死を意味すると言っていた。僕はその境地にはたどりつけなかったですけど、どういう思いで取り組まれていたんですか」

　白鵬　「大好きな横綱、大鵬さんに会った時に『わしは横綱になった時、引退することを考えた』と。横綱は番付が下がらないんですよ。（大鵬の話を聞いて）負けることは死だと思ったのは、正直ありますね」

　《王者の強さに共通するものは何か。白鵬はよく、相手の動きがゆっくり見えることがあったという》

　白鵬　「アスリートはそれを『ゾーン』という言葉で表すけど、全く別物なんですってね。ある大学の研究によると、ゾーンというのは生死が危ういと思ったとき、脳が自然と集中しているときに起きる状態のことだそうです。一般的にこの感覚を感じるのは、車の交通事故なんですって」

　国枝　「今、僕、それを思い出しました。車に衝突されたことがあったんですよ、横から。本当にスローモーションのようでした」

　白鵬　「カメラでみたら2秒、3秒の世界。でも、そこにいる人間にはものすごく長く感じるらしいですね。その話を聞いた瞬間、私は（場所中の）15日間、毎日、交通事故に遭ってたんだな、と」

　国枝　「実際、立ち合いでぶつかる大相撲は交通事故ぐらいの衝撃かもしれないですね。それにしても、親方はすごいですね。相手の動きがスローに見えているので、自分はどう動けばいいか判断して、技を仕掛けていたんですか？」

　白鵬　「たぶん、相手が動く前に動いているんですよ。同じ土俵に立っているんだけど、時間の感覚が違うんでしょうね。ネットとかで調べたら、野球では（元巨人の）川上（哲治）さんが『ボールは止まって見えた』と。同じ人間がいて良かったです」

　国枝　「相手がスローに見える瞬間は僕にもあります。すべて見えてるぞ、と。でも、15日間連続ですよね？　僕は何回かあるんですけど、毎試合なんてちょっと無理。そういう意味では、ゾーンではないのかもしれないですね」

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