沙織さん(仮名：40歳)「手取り15万円、家賃は5万円。出勤途中に栄養失調で倒れました」

通勤電車で突然意識がなくなった…40歳の契約社員が「新型栄養失調」で倒れるまで

2023年12月22日、政府は初の「こども大綱」を発表。これは、4月施行の「こども基本法」に基づくもので、今後5年程度の子ども政策の方向性を定める大綱だ。
重点項目に貧困と格差の対策のほか、虐待や自殺防止策の強化などを掲げる。

最近の物価高により多くの子育て家庭が深刻な経済的影響を受けている現状を、NPO法人キッズドアは明らかにしている。
2023年11月に行った、困窮子育て家庭に対するアンケートには、1週間という短期間に1822件もの回答があった。
そこでは貯金が0という回答が半数ちかく。食事をするにも高額な肉・魚類は摂れないという答えも多い。

貧困家庭のみならず、食事がパンや菓子など手軽な手段での栄養摂取に偏ると、摂取カロリーは足りているとしても、
タンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養素が不足してしまう。それによって頭痛やだるさなど原因不明の不調の要因となる「新型栄養失調」も注目される。

新型栄養失調が主な原因となり、通勤途中に倒れ、救急搬送後半日入院したのは40歳の契約社員、沙織さん(仮名)だ。

「もともと、常に倦怠感があり、体調が悪いのがデフォ(当たり前)。
生理の時は立ち上がれないし、うつで起きられないこともあり、社会人になって20年、10社以上転々として、今の休みやすい会社に落ち着きました」

現代に起きた「栄養失調」とはどういうことなのだろうか。なお、医療面は内科医の小田切容子医師の監修のもと、ドキュメントでお送りする。

給料は手取りで15万円、アルバイト含めて20万円

沙織さんが3年前から勤務しているのは、企業のウェブサイトや動画広告を制作する社員20人のプロダクションだ。
体調が常に不安定だから、あえて契約社員のままにしているという。沙織さんの主な業務はコーディングで、WebサイトやWebアプリを、
プログラミング言語を使って構築するのが仕事だという。

「遅刻や早退にも寛大で、給料は手取りで15万円。体調不良で当日に連絡してリモートになってもいいからホントにありがたい。
それに私、推し活もしていないし、独身だから生活費はかからないんです。20平米のアパートの家賃は5万円、
埼玉から都心までの交通費が出るから、NISAも貯金もできる。副業もOKないい会社です」

当然、15万円では足りないので、週に1回、新宿のスナックで時給1500円のアルバイトをしている。
さらにフリマアプリで不用品を売ったり、アフィリエイトの収入と合わせると、月の収入はだいたい20万円程度。

「ほどほどに満たされているので、倒れるまではそのままの生活でいいと思っていました。
眠りが浅くだるさが続いても、胃の不快感、頭痛、耳鳴り、立ちくらみなどが常にあっても、そんなもんだと思っていたんです」
https://news.yahoo.co.jp/articles/698d763a9f87feb81e8fde40ddc4be0e9b7fb691